デジタルカメラで撮影した写真を、アドビシステムズのPhotoshopシリーズからプリントするときの設定を解説します。
写真の色域を保って出力したり、写真本来の色を再現するためには、ここで解説する設定が必要となります。特に難しいところはないので、ぜひマスターしてください。
撮影した写真を印刷するアプリケーションとして、アドビシステムズのPhotoshopシリーズを使っている人も多いことでしょう。レタッチとプリントを繰り返しながら作品を煮詰めていくわけですが、デフォルト設定で作業していると、最終的な出力結果を自分でコントロールすることができません。カラー設定をきちんと行って、写真が持つ色域や、写真本来の色を再現できるようにしましょう。
ここではそのノウハウの解説をPhotoshop CSを使いながら進めていきますが、Photoshop CS2や、Photoshop 7.0でも基本は同じです。

最初に行うのは、Photoshop CSのメニューバー「編集」−「カラー設定」です。ここでは、Photoshopで作業するときの色空間(カラースペース)を設定します。基本的には、デジタルカメラで撮影した写真の色空間と同じにしておきます。sRGBかAdobeRGBのどちらかになるでしょう。
「カラー設定」の画面で設定する項目は多くありません。「作業用スペース」−「RGB」の項目で、「AdobeRGB(1998)」か「sRGB IEC61966-2.1」を選びます。
また、「カラーマネジメントポリシー」−「RGB」を、「埋め込まれたプロファイルの保持」に設定します。カラーマネジメントポリシーのところにある3つのチェックボックスにも、すべてチェックしておきます。作業用スペースとカラーマネジメントポリシーとも、RGB以外の項目はデフォルト設定のままでかまいません。

続いて、デジタルカメラで撮影した写真をPhotoshopに読み込みます。sRGBやAdobeRGBの色空間が指定された画像ファイルなら(ICCプロファイルが埋め込まれた画像ファイル)、単純に開くだけでOKです。
ここで下の図の警告が表示された場合は、画像ファイルの色空間と、Photoshopの作業用色空間が異なっています。「作業用スペースの代わりに埋め込みプロファイルを使用」を選択してOKをクリックし、画像ファイルの色空間で作業するようにします。
また、下の図の警告が表示された場合は、画像ファイルの色空間が指定されていません(ICCプロファイルが埋め込まれていない)。「プロファイルの指定」をクリックして、デジタルカメラで撮影したときの色空間を割り当てます。ここも、sRGBかAdobeRGBのどちらかになります。「次にファイルを作業用のRGBに変換します」にはチェックしません。
余談ですが、画像ファイルにICCプロファイルが埋め込まれるかどうかは、デジタルカメラによって異なります。RAW形式で撮影した場合は、Digital Photo Professionalで現像して保存するときに、ICCプロファイルを埋め込んでおくとよいでしょう。
デジタル一眼レフカメラのEOS DIGITALシリーズに付属する、RAW現像ソフトの「Digital Photo Professional」。RAWデータを現像して保存するとき、画像の色空間を記録したICCプロファイルを埋め込むことができます。指定される色空間は、Digital Photo Professionalの作業用として設定した色空間です。
Digital Photo Professionalの「環境設定」−「カラーマネージメント」タブで、作業用色空間を設定します。デジタルカメラの設定と同じ色空間です。sRGB色空間で撮影した写真なら「sRGB」、AdobeRGB色空間で撮影した写真なら「AdobeRGB」を選択します。この設定は、写真が持つ色空間情報を保持したままで、Photoshopシリーズから印刷するために必要です。
| ▲Digital Photo Professionalで複数のRAWデータを一括保存(現像)するときの画面では「出力設定」のところで「ICCプロファイル埋め込み」にチェックすると、現像して保存される写真にICCプロファイルが埋め込まれます。このICCプロファイルで指定される色空間は、Digital Photo Professionalの作業用色空間と同じです。 |
| ▲Digital Photo ProfessionalでRAWデータを変換して保存(現像)するときの画面でも同様に「出力設定」のところで「ICCプロファイル埋め込み」にチェックすると、現像して保存される写真にICCプロファイルが埋め込まれます。 |

ここからは、Photoshopに読み込んだAdobeRGB色空間の画像を、広い色域のままで印刷する設定を行います。使用するプリンタは「PIXUS iP9910」ですが、A4モデルのPIXUS iPシリーズでも設定は同じです。プリントには2通りの方法があります。
1. プリンタ側でカラーマネジメントして印刷する
Photoshopのメニューバー「ファイル」−「プリントプレビュー」を開きます。画面下の「その他のオプションを表示」にチェックを入れて、すぐ下のプルダウンメニューで「カラーマネジメント」を選択します。
「ソースカラースペース」で「ファイル」を選び、ドキュメント(印刷する画像ファイル)の色空間がAdobeRGBになっていることを確認します。
次に、「プリントカラースペース」の「プロファイル」を指定します。プルダウンメニューから「プリンタ側でカラーマネジメント」を選択して、準備は完了です。「プリント」ボタンをクリックして、プリンタドライバの設定画面を呼び出します。
プリンタドライバでは、「基本設定」タブの「用紙の種類」で、プロフォトペーパー(プロフェッショナルフォトペーパー)、スーパーフォトペーパー、マットフォトペーパーのいずれかを選びます。「印刷品質」は「きれい」がよいでしょう。
同じく「基本設定」タブにて、「色調整」を「マニュアル調整」にして、「設定」ボタンをクリックします。「マニュアル色調整」という画面が開くので、「ICMを使用」にチェックを入れます。カラーバランスと濃度は調整しません。
2. Photoshop側でカラーマネジメントして印刷する今度はカラーマネージメントをプリンタ側で行うのではなく、Photoshop側で行う設定を解説します。プリンタ側で行うカラーマネージメントよりも応用範囲が広いので、この機会に覚えておくとよいでしょう。操作の手順は以下に示した通りです。なお、本サイト「プロフェッショナル プリントテクニック」の「フォトグラファーズテクニック」−「現像編」−「RAW現像とプリント」でも、プリンタドライバの設定をより詳しく解説しているので、一読してみてください。
Photoshopのプリントプレビューを図のように設定します。ポイントは「プロファイル」の設定で、プリンタのインストールと同時に組み込まれるプロファイルを指定します。プリンタによっては、用紙の種類と印刷品質の組み合わせに応じて複数のプロファイルが組み込まれます。ここで指定した「Canon iP9910 PR1」というプロファイルは、プリンタがPIXUS iP9910、用紙種類がプロフェッショナルフォトペーパー、プリンタドライバの印刷品質設定が「品位1」という内容です。
Photoshopから印刷を実行し、プリンタドライバの設定を呼び出します。「基本設定」タブで、用紙の種類を「プロフォトペーパー」(プロフェッショナルフォトペーパー)、印刷品質を「きれい」、色調整を「マニュアル調整」に設定します。続けて「マニュアル調整」の右横にある「設定」ボタンをクリックします。
「マニュアル色調整」という画面が開くので、マッチング方法を「しない」に設定します。そのほかの項目は、すべてデフォルト設定です。プリンタドライバの設定画面に戻り、印刷を実行します。
以上の設定で印刷することで、AdobeRGB色空間の画像が持つ広い色域を、PIXUSシリーズのプリンタで再現できます。実際の色再現にはプリンタの性能も影響しますが、PIXUSシリーズの中でもっとも良好な結果が得られるのは、8色のインクを使うPIXUS iP9910やPIXUS iP8600です。